折り紙にインスパイアされた美しくデュラブルな非常用シェルター
Red dot アワード2020「best of the best」を受賞した非常用シェルターは、折り紙から構想を得た折りたたみ可能で軽く、しかも美しいデザインのシェルターだ。デザインは、デンマーク王立アカデミーを卒業したサミュエル・チャールズ・バラットとヘンリー・グロガウの二人組。
極限環境では、予測不可能で制御不能な状況に陥ることがある。視界が悪く、携帯電話も通じず、氷点下の気温の中、生き延びるためにはそれなりの準備が欠かせない。「Deployable Emergency Shelter」は、このような極限状態に”対抗”するのではなく、極限状態を”受容”活用する設計だ。
アラスカの厳しい環境の中で制作されたこのシェルターは、地元の動植物、雪洞、イヌイットの伝統的なイグルーからインスピレーションを受けている。断熱材として利用する雪は、重荷ではなく建築材料となる。数秒で展開でき、室内と室外に24℃の差をつけることが可能。シェルター本来の水滴の形を最適化し、空気力学的性能をさらに向上させ、シェルターを固定し、風力を分散させる。
折り紙の皮の内側にはマイラーを使用し、熱を室内に反射させる。軽量で強度の高いグラスファイバー製のラティスは、シェルターの構造を支え、折り紙の皮に接続。これらの特徴を組み合わせることで、即座に展開でき、軽量で頑丈な、極端な気象条件下で人間の生存を可能にする費用対効果の高い構造体を作り出している。まさに日本の折り紙の技術は、こうやってさまざまな形で活用されている。
project info:
Name: Deployable emergency shelter
Designers: Henry Glogau, Samuel Barratt
Location: Alaska, USA
Competition: https://www.red-dot.org/